桜空あかねの裏事情


「でもメンバー集めなきゃいけないんだよな」

「そうなんだよね」


昶の言葉と共に、重い現実がのし掛かる。
それはリーデルになるにあたって、課された課題のようなものだが、現時点では何をすればいいかさえ分からず、ただ頭を抱えているだけだった。


「期間は二ヶ月あるって言われたけど」

「長くもなく短くもない期間だよな」


あかねはただ頷く。


「どうするつもりなんだ?」

「うーん……」


言葉が詰まる。
ただメンバーを集めようという目的だけが、漠然と決まっているだけで、具体的に何をするのかは決まってはない。
ジョエルは自分やアーネストを使えと言ったが、それは一種の他力本願なのではないかと思い、自力でやってみたいと思うあかねとしては、その手段を極力選びたくはなかった。
ただ一つ分かっているのは、何をするにも自分には明らかに情報が少な過ぎるという事。


「関係ないかも知れないけど……まずは異能者の事を知ろうと思う」


異能者の事を今より少しでも理解していれば、何か掴めるはずだと、あかねは予感していた。


「いいじゃん。知る事も一歩のうちだしな」


昶は笑顔ではにかむと、立ち上がって声を上げた。


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