リーデルの事は伏せて、ジョエルや結祈達の事。
そしてオルディネの事。
一つずつ、丁寧ながらも簡潔に話していくあかね。
その間、昶はよそ見もせず、ただ真剣に耳を傾け聞いてくれていた。
「オレと別れた後、そんな事があったんだな」
長くなった話が終わると、昶は神妙な面持ちで口を開いた。
「うん。私も状況を飲み込むので、精一杯だった」
あかねも頷きながら答える。
だがそれでも、リーデルの件とオルディネの立場。
少なくともこの二ヶ月はその事に悩まされ続けるのだろう。
先が思いやられるとは、まさにこの事だろうか。
「つーか、あの変人も異能者だったんだな」
苦虫を噛み潰したように、昶は顔を歪ませる。
先日の一件でジョエルに対して、まず良い印象はないだろう。
「大丈夫なのか?」
具体的に何とは言わなかったが、心配してくれているのだろう。
険しいの表情の中にもこちらを気にかけているのが分かり、あかねは軽く微笑む。
「うん。怪しいところはまだあるけど、根は悪い人では無さそう」
それがあかねの中にある、ジョエルに対する印象だった。
それを聞いて昶の安堵したように微笑んだ。
「そっか。まぁあかねがそう言うなら、大丈夫か。でも何かあったら言えよ?力になるから」
「うん。ありがとう」
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