黎明館 三階 自室
朝日が昇ってから少し経った頃、鳴り始めた目覚ましにより、その部屋の主は目が覚めた。
まだはっきりしない意識、慣れぬ景色と空間に戸惑いながらも、ゆっくりと起き上がり洗面所へ向かう。
とは言ってもこの部屋には洗面所及び風呂まで付いており移動は容易く、差ほど時間は掛からない。
顔を洗って意識を覚醒させると、肩に掛かるか掛からないほどの髪を整えて制服に着替える。
時計を見れば七時半を過ぎており、登校時間まで一時間を切っていた。
それを確認すると机に置いてある鞄を持って勢い良くドアを開け、あかねは部屋を後にする。
「おや、随分と遅いお目覚めだな」
「あ、ジョエル」
ドア開けるとほぼ同時に部屋を出てきたようで、ジョエルが声を掛けてきた。
昨日と変わらぬ姿をしており、それは徹夜でもしていたのかと思うほどだった。
「まぁ不規則な君にしてみれば、早い方なのかも知れないが……とりあえずおはよう」
「……おはよう。そして爽やかな朝が台無しになりそうな一言をありがとう」
「爽やかな朝、か。私からしてみれば、朝などただ太陽が容赦なしに照らしてくる、鬱陶しい時間だと思うがね」
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