「ありがとう、結祈。少し心が晴れた気がする」
「いえ。お力になれたなら何よりです」
結祈は再び支度に取り掛かる。
そして間を置かず何かを思い付いたかのように、再び口を開く。
「それからもう一つ。余計な事かと思いますが、あかね様は快活な方です。待ってみるのも一つの手かも知れません」
「?……それはどういう――」
「出来ました」
聞き返そうとした朔姫だが、嬉しげな結祈の声に遮られる。
どうやら朝食の支度が出来たらしく、テーブルの方へやってきて慣れた手付きで朝食を置いていく。
目の前に置かれたプレートには目玉焼きを中心にウィンナー、サラダとミニトマト。
横には既にバターが塗られているパンがあり、朝食にしては豪勢なものだった。
「美味しそう」
「ありがとうございます。果物は後でお持ちしますね。ところで、朔姫は醤油でしたよね?」
「うん」
頷けば結祈は目玉焼きに醤油を掛ける。
「足りなかったら言って下さいね」
「いつもありがとう。いただきます」
朔姫は微笑んでフォークとナイフを手に取る。
こうして穏やかな朝は過ぎていった。
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