桜空あかねの裏事情


「最ッ低!自分さえ良ければそれでいいわけ!?あかねちゃんだって、納得しないわよ!」

「自分が良ければいいという事は否定はしないが、お嬢さんなら納得しているぞ」


ジョエルは手に持っていた纏めた書状を広げる。
それは先程、あかねが彼の自室で署名をした誓約書であり、全体に見せつけるように掲げた。


「見た事がある者は分かるだろう。これはリーデル専用の誓約書。無論、この通り署名も得ている」


署名の部分を指差され、全体の視線がそこに集まる。
そこには確かに丸っこい字体で、桜空あかねと書かれていて、誰が見ても認めざるおえなかった。


「よって彼女は、我等がオルディネのリーデルになった。という事だ」


息を呑む音が聞こえた。
全てを撥ねつけられたかのように、告げられた事実。
それでも話だけが進められて、あかねはいまいち状況を受け入れることが出来なかった。
そしてこの場にいる自分以外の者には、どう受け取られたのだろうか。
愕然とした表情、明らかに不可解そうな表情。
どれも良いものであるとは決して言えない。


「桜空さん……」


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