そこであかねは思わず首を傾げる。
実を言えば、先程からのジョエルの言動には違和感どころか脈絡さえ掴めていなかった。
そして今の言葉。
特に後者は聞き捨ててはならないものだろう。
自分の肩に手を置く彼を見るが、変わらず不遜な笑みを浮かべて答えてくれる様子はない。
しかしそれは陸人達も同じだったらしく、意味ありげな視線をジョエルに向けている。
「アンタも人が悪いな。勿体ぶらずに教えてよ」
「相変わらず短気だな。お前は自分で考えようとする努力をしないのか。心底どうでもいいが、他力本願なところを直さない限り、到底兄達には及ばないだろう」
「ッ!うるさいな!」
「やめなさい陸人」
立ち上がった陸人を諫めるように、ギネヴィアは彼の腕を掴む。
だが視線は睨み付けるように、ジョエルに向いていた。
「まるで姉のようだな。まぁこちらとしては助かるよ」
「分かってるならアンタも気をつけて」
「善処しよう」
そう言うものの、ジョエルからはやはり反省の色はまったく見られない。
気にしていないどころか、まるで反応を楽しんでるようで、この場の雰囲気を更に悪くしている気がした。
「やれやれ。彼には困ったものだね」
不意に聞こえた声に振り返れば壁に寄りかかっていたはずのアーネストが、いつの間にか隣に座っていた。
「ところであかね嬢。一つ聞きたいんだけど、書状に署名をしたかい?」
「はい。しましたよ。金縁で賞状みたいなのでした」
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