Stardust 戸松店
学校を出たあかねと昶は、数分歩いたところにあるスタダことStardustという店に入った。
夜空を思わせるかのような天井。
休憩するにも誰かと待ち合わせするにも最適なそこは、昼夜問わず人が絶えず、特に若者達に人気のカフェである。
あかねと昶が入った時には既にもう人で賑わっていた。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか」
「トリプルショコラ!あかねは?」
「ハニーハニー」
「かしこまりました。合計で940円です」
店に入って、二人は早速注文をする。
――ハニーハニーフラペチーノは
――460円っと。
あかねは鞄から財布を小銭を取り出す。
「千円からお預かり致します」
「あ」
店員の声に顔を上げる。
どうやら昶が先に千円札を出していたようで、彼を見ればピースサインを出していた。
「今日は俺の奢りということで!」
「いや、流石にそれは…」
悪い気がしてならない。と声無き言葉で訴えるものの、所詮は無駄な抵抗であった。
なんというフットワークの軽さ。
空気が読めるのか気前が良いのか、いまいち分からないが悪いヤツではないのかも知れない。
今回は相手の好意に甘えることにしようとあかねは決めた。
「ありがとう」
「いいっていいって!帰る予定だったのに無理に付き合わせちゃったしな」
苦笑する昶。
どうやら彼は無理に付き合わせたと思い込んでいるらしい。
勘違いされたままでもこちらに何かあるというわけではないが、気を遣わせてしまったという申し訳ない気持ちもある。
「無理に付き合ってるわけじゃないよ」
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