2月に入ったばかりの、肌寒い夜。

残業を終え、いつも帰りに寄るコンビニを出ると、懐かしい星空が広がっていた。

この空を見ていると、私はまあくんと過ごしたあの夜を思い出さずにはいられない。


『ハート型のチョコなんてもらったら、期待しちゃうんで。

見込みないなら、他の型のチョコにしてください』

19歳のバレンタインデー。

私は自分勝手な理由で、一人の男の子を傷つけた。

もう4年も前のことなのに、いまだに忘れることができないでいる。


自然と脳裏に浮かぶ、幼さの残った笑顔。

くったくのない笑い声。

まあくんと見た、満点の星。

吸い込まれそうな空。

冬独特の風のにおい。

時間が経てば、思い出と一緒にその想いも風化すると思っていたのに、日を重ねるごとに私の気持ちは膨らんでいった。