「・・・ん」

 朝だ。

 そう知らせるのは、カーテンから差し込む眩しい光。

 
 時計に目をやると、朝の10時。


 休みの日だからって、少し寝過ぎたかな・・・。



 寝癖のついた頭を、手グシでサっとといて洗面所へ。



 顔を洗って、タオルで頬を撫でる。


 ふと、鏡に目をやると後ろに誰か立っている。


「・・・お兄ちゃん?」


 後ろを振り向くと、少し眠そうな顔をしたお兄ちゃんが立っていた。

 
 シンプルな服に身をつつんでいて・・・。

 あ・・・


 今、メガネかけてない。



「雪、おはよ」


 むにゃっとした声で、寝起きなんだと分かる。


「おはよう。メガネ・・・かけてないね」

「あー・・・顔洗うから」

「メガネ外した顔って貴重。もうちょっと見せて」

「あー・・・、ちょっと。今眠そうな顔してるから、せめて顔洗ってからにして」



 お兄ちゃんは、ふわっと大きなあくびをすると、顔を洗い始める。


 私はタオルをギュっと握って、お兄ちゃんが顔を洗い終わるのを待つ。



 キュっと、蛇口をひねる音。


 それが合図のように、お兄ちゃんはフっと顔をあげた。



「はい、これがオレのメガネなしの顔」

「わ・・・」