「翔・・・雪、困ってる」

「・・・本当は、悠斗たちと昨日のことナシにしようとか思ったけど・・・。オレはムリだー!」

「え、えと・・・」

 
 ちょい待て。


 じゃぁ、昨日のことは本当?


 え、えぇ・・・?


 いやいやいや・・・え、でも。


 あぁ、わけ分かんない!!


 翔ちゃんに抱きしめられてて、もっとわけ分かんない!


「翔。やめろ。オレだって雪のこと好きなんだから」

「巧くん・・・」

「オレも、なんだけどね・・・」

「お兄ちゃん」

「オレも」

「小夏くん・・・」

「っ・・・」

「わっ」


 グっと誰かに引っ張られて、翔ちゃんの拘束から抜け出す。

 そして、次はその誰かにギュっと抱きしめられた。


 誰か・・・じゃない。


 私、知ってる。

 この感覚。

 こうやって・・・抱きしめられたことあった。


「恭・・・ちゃん」

「オレもお前が好きだ。オレのことをそんななめたマネで呼ぶのも、オレに馴れ馴れしくしてきて・・・こうさせたのも。全部、お前だけなんだ」

「え・・・」


 うざいって言ったじゃんか。


 怒ったじゃんか。


 でも、でも・・・。


 恭ちゃんのこと・・・。