「ただいまー」

「おかえり。雪と、悠斗」

「オレはオマケか? 巧」

「そんなんじゃねぇっての。で、お前・・・いつ帰ってきた?」

「今」

「じゃ、テーブル上のオムライスは何」

「あ・・・それ、私が作ったの」

 少し遠慮気味に片手を上げる。


 
「え!? 雪が?」

「いつも・・・お兄ちゃんが作ってるくれるから・・・たまには。って思って」

「お前には洗濯物とかやってもらってるし、気遣いいらないけど・・・ふーん、作ってくれたんだ」

「うん」

「皆、誰が作ったか分かんないから手ぇ、つけてねぇの」


 リビングに行くと、テーブルをぐるっと囲んで座る翔ちゃん、小夏くん、恭ちゃん。

 手元のオムライスは一口も食べられていない。


「あー。巧。これ、誰が作ったの?」

「雪だってさ」

「え!? まじで?」

「じゃ、食べていい?」

「どうぞ」


 時計に目をやると、7時を回っていた。


 私が何か、手紙とか書いとけばよかったかな・・・。

 食べてください。


 みたいな。



 皆待たせる結果になっちゃったわけだし・・・。



「雪。めっちゃ美味い」

「えっ・・・」


 翔ちゃんがグーっと親指を突き出して、ニコニコと笑っている。

 小夏くんは、スプーンをくわえて驚いた顔をしている。

 恭ちゃんは意外そうな顔で私を見る。