八木さん家の5人兄弟。


「・・・あのさ、言いにくいけどさ」

「うん・・・」

「・・・あー。恭介より、オレのが優しいと思うけどーって話」

「え?」
 
 どういうこと?

 頭の中がハテナでぶわーっとなる。


「あー、だから! 雪が・・・他の男に優しくしてんの見ると腹立つって話!」

「巧くん・・・」

「あぁ、シスコンだよ! オレはシスコンだよ! 悪いかっ!!!」

「え・・・あ」

 なんと言っていいのやら。

 シスコン宣言されて、対応はどうしたら。

 えっと・・・。


「シスコン兄貴でゴメンな。ドン引きされたよな・・・?」

「ううん。私もブラコンだし、それにシスコンってことは、私が好きってことでしょ?」

「え・・・あ、まぁ」

 巧くんは、恥ずかしそうに視線をずらした。

 そして、意味もなくじゅうたんの毛をプチプチと抜いている。

 気を紛らわすためかな。

 私もしょっちゅうするや。


「だから、嬉しいよ。巧くんがシスコンで!」

「変な感じなんだけど?」

「え、そうなのかな」

「うん・・・でも、引かれなくて安心した」

 巧くんはそう言うと、じゅうたんをサっと撫でて。

 私の方へ振り向き。

 私にもたれかかってきた。


 というか、前からギューって抱きしめられた感じなのかな。

 
 巧くんの茶色い髪が、頬にチクチク刺さってくすぐったい。

 
「・・・雪、好き」


 小さく呟かれたその言葉にが、なんだか照れくさくて。

 私は巧くんをキューっと抱きしめ返していた。


 好きっていうのは、妹として兄から。


 だけど、なんだか・・・。


 嬉しいというか恥ずかしいというか。

 上手くその言葉を受け取れなかった。