「・・・あのさ、言いにくいけどさ」
「うん・・・」
「・・・あー。恭介より、オレのが優しいと思うけどーって話」
「え?」
どういうこと?
頭の中がハテナでぶわーっとなる。
「あー、だから! 雪が・・・他の男に優しくしてんの見ると腹立つって話!」
「巧くん・・・」
「あぁ、シスコンだよ! オレはシスコンだよ! 悪いかっ!!!」
「え・・・あ」
なんと言っていいのやら。
シスコン宣言されて、対応はどうしたら。
えっと・・・。
「シスコン兄貴でゴメンな。ドン引きされたよな・・・?」
「ううん。私もブラコンだし、それにシスコンってことは、私が好きってことでしょ?」
「え・・・あ、まぁ」
巧くんは、恥ずかしそうに視線をずらした。
そして、意味もなくじゅうたんの毛をプチプチと抜いている。
気を紛らわすためかな。
私もしょっちゅうするや。
「だから、嬉しいよ。巧くんがシスコンで!」
「変な感じなんだけど?」
「え、そうなのかな」
「うん・・・でも、引かれなくて安心した」
巧くんはそう言うと、じゅうたんをサっと撫でて。
私の方へ振り向き。
私にもたれかかってきた。
というか、前からギューって抱きしめられた感じなのかな。
巧くんの茶色い髪が、頬にチクチク刺さってくすぐったい。
「・・・雪、好き」
小さく呟かれたその言葉にが、なんだか照れくさくて。
私は巧くんをキューっと抱きしめ返していた。
好きっていうのは、妹として兄から。
だけど、なんだか・・・。
嬉しいというか恥ずかしいというか。
上手くその言葉を受け取れなかった。

