八木さん家の5人兄弟。


 恭ちゃんは、立ち上がって巧くんの横をスっと通り過ぎる。

 その何気ない行動を見たとき、恭ちゃんと巧くんの身長差があまりないことを感じさせられた。

 ていうか、ここの男の子は皆身長高いんだよね・・・。


「じゃ・・・恭介の代わりにオレが見るか。火傷したとこ、どこ?」

「えと・・・ひざ」

 ジャージをまくられた足を、巧くんの方に出す。

 巧くんは驚いた顔をする。

「少し赤い・・・」

「平気だよ。何日かしたら消えるって。恭ちゃんが手当てしてくれたし・・・」

「恭介が?」


 不思議そうな顔をする巧くんに、さらに不思議そうな顔をする私。

 えと・・・変なこと言ったかな。


「アイツ、そんなことする奴なんだ・・・」

「・・・けっこう優しいよ?」

「オレらには、うざいとか、うるさいとか・・・そういうことしか言わないからね」

「それは、私も言われるけど」

「でも・・・手当てしてくれるなんて、雪ぐらいだよ」

「そうなの・・・?」

 少し嬉しい気がする。

 私は思わずほころんだ。


「でも・・・恭介なら・・・・・・オレが・・・」

「え?」

「・・・何でもない」

「?」

「本当に何でもないから」

「嘘。巧くんたぶらかさないでよ」

「・・・・・・・・・お前にはかなわないね」


 巧くんは苦笑して、まいったと、両手を挙げた。