恭ちゃんは、立ち上がって巧くんの横をスっと通り過ぎる。
その何気ない行動を見たとき、恭ちゃんと巧くんの身長差があまりないことを感じさせられた。
ていうか、ここの男の子は皆身長高いんだよね・・・。
「じゃ・・・恭介の代わりにオレが見るか。火傷したとこ、どこ?」
「えと・・・ひざ」
ジャージをまくられた足を、巧くんの方に出す。
巧くんは驚いた顔をする。
「少し赤い・・・」
「平気だよ。何日かしたら消えるって。恭ちゃんが手当てしてくれたし・・・」
「恭介が?」
不思議そうな顔をする巧くんに、さらに不思議そうな顔をする私。
えと・・・変なこと言ったかな。
「アイツ、そんなことする奴なんだ・・・」
「・・・けっこう優しいよ?」
「オレらには、うざいとか、うるさいとか・・・そういうことしか言わないからね」
「それは、私も言われるけど」
「でも・・・手当てしてくれるなんて、雪ぐらいだよ」
「そうなの・・・?」
少し嬉しい気がする。
私は思わずほころんだ。
「でも・・・恭介なら・・・・・・オレが・・・」
「え?」
「・・・何でもない」
「?」
「本当に何でもないから」
「嘘。巧くんたぶらかさないでよ」
「・・・・・・・・・お前にはかなわないね」
巧くんは苦笑して、まいったと、両手を挙げた。

