「なに? オレ、菓子持って来いとか言ってねぇけど」

「翔ちゃんに買ってきてもらったから、恭ちゃんと食べようと思って」

「んなことより・・・さっきの、足だせ」

 恭ちゃんは言うやいやな、ジャージをまくりあげて火傷した場所を出す。

 私は、コテンとしりもちをついた。


 恭ちゃんは、ひざを指でスっとのぞる。


「・・・残りそうではねぇか」

「あ、あの・・・恭ちゃん?」

「もし残ったら・・・オレ、どうしたらいいわけ?」

 見たことないような不安気な顔で、私の顔を覗き込む恭ちゃんに、なんとも言えないほどにキューっとなった。

 そして、ひざに触れた恭ちゃんの指に、恥ずかしさを感じて目をキューっと閉じた。


「それ、どういう返事?」

「・・・え。あ・・・・・・違うよ。その・・・手、離してください」

「ん?」

「・・・恥ずかしいんですけど」

「兄妹なのに、何言ってんの?」

「っ・・・・・・」

「それとも、まだオレのこと兄とか思ってない?」

「え・・・あ」

「恭介、今いい?」

「・・・・・・ちっ」


 聞こえてきた声は巧くんのモノ。

 予想通り、ドアから顔をのぞかせたのは巧くんだ。


 なぜだか、ホっとして。

 助かった・・・なんて考えていた。


「・・・何で雪がいんの?」

「ちょっと恭ちゃんに呼ばれてて・・・」

「コイツが火傷したから、それの様子見ようと思って呼んだんだよ」

 恭ちゃんは面倒くさそうに、前髪をくしゃっとかきあげて言った。

 そして、イラついたようにそっぽを向く。


「で、何か用事かよ」

「悠斗が呼んでるから、下行ってやって」

「・・・はいはい」