「だから・・・恭ちゃんが無事でよかった」

「・・・本当にうぜぇな。お前なんなんだよ・・・」

「・・・恭ちゃんの妹」

「っ・・・・・・。なぁ、痛むか?」

「・・・もう、平気だよ」

「本当にか?」

「本当に平気」

 恭ちゃんは、シャワーをキュっと止めると私のひざを撫でた。

 
「・・・熱かったよな。悪い・・・」

「本当に、もう平気だから。すぐ冷やしたから・・・残らないと思うし」

「・・・・・・」

「恭・・・ちゃん?」


 ギュゥっと背中に手が回って、恭ちゃんの腕の中に体がすっぽり納まる。

 え・・・。

 濡れたひざから冷たさがドンドン広がるけど。

 抱きしめられたとこから、ドンドン温かさが広がる。


「・・・オレのこととかどうでもいいだろうが。本当にうぜぇよお前」

「恭ちゃんのが・・・大事だよ。モデルさんなんだから」

「モデルモデル・・・って・・・。自分のことだって大事だろうが!」

「でも・・・」

「オレは・・・お前のが大事なんだよ!」

 怒鳴られて、泣きそうになった。

  
 それは・・・恭ちゃんが泣きそうな顔で怒鳴ってきたから。

 だから何も言えなくなって、恭ちゃんの背中に手を回して。


「ごめん・・・なさい」

 というしか、出来なかった。