「・・・・・・」

「翔・・・お前。雪になんかしたの?」

「・・・巧、何でそう思う?」

「雪の機嫌が悪いから。雪になんかするなんて・・・お前くらいしかいないだろ」

「何もしてねぇことは・・・ねぇけどよ」

「ごちそうさま」

「食った?」

「・・・食べた」


 私は短く返事をすると、お皿を片付けてさっさと自分の部屋に行く。

 翔ちゃんめ・・・思いっきり謝ってくれるまで・・・絶対許してやんない。

 イラつきをこめて、リビングをドアを思いっきり閉めてやった。


 自分の部屋に行ってもなんだかイライラして、イライラをボスボスとクッションにぶつける。

 でも、そんなことにも飽きてベッドに寝っ転がった。

 
 イライラしたら・・・寝たら直るかな。


「・・・雪」

「・・・・・・翔ちゃん?」

 ドア越しに翔ちゃんの声が聞こえる。

「ゴメン。今日のこと・・・本気でゴメン!!!」

「・・・・・・」

「・・・お詫びに、今からコンビニでお前の好きなお菓子買ってくるけど、どう?」

「・・・許す」

「ふっ・・・じゃ、オレ買ってくるから待っといて」

「・・・私もついていく」

「・・・本音言うと嬉しいけど、もう遅いからなし。待っといて」

「うん・・・」


 私って子供かな。

 お菓子に釣られて、簡単に許しちゃうなんて。


 さっきまで怒って八つ当たりしたクッションを、そっと撫でた。


 さっきまで本当に怒ってたんだけどなー・・・。

 お菓子には弱いんだよなぁ。