「ふぅ・・・・・・」


 お風呂をあがって、冷蔵庫から冷えたペットボトルを取り出す。

 中身は今日の帰りにコンビニに寄って買ってきた、オレンジジュース。

 お風呂あがりの一杯って気持ちいよね。


「ゆーきっ」

「わっ、翔ちゃん!」

 後ろからガバっと翔ちゃんに抱きつかれる。

 これが初めてではないから、そこまでは驚きはしないけど・・・。

 こういうスキンシップはやめて欲しいんだよねぇ・・・。


「翔ちゃん離してー」

「・・・ケチ」

「ケチとか言わない」

「・・・オレンジジュース頂戴」

「これ私が買ったやつ」

「ケチ」

「もう、ケチケチ言わないでよ」

「・・・今日1日はオレは雪の彼氏って話じゃないっけ?」

「!? そんなことっ・・・」

 翔ちゃんから逃げようともがくけど、男の子だ。

 ビクともしない。

 その拍子に手からペットボトルが滑り落ちてコロコロと転がっていった、


「翔ちゃ・・・離して」

「彼氏役じゃないの? オレ」

「それは、映画の・・・」

「彼氏ならキスもあり・・・?」

「!!!」

 ゴンッ!!!

 痛々しい音が、私の後頭部でする。


 翔ちゃんに危険を感じた私は、頭を思いっきり後ろに打ち付ける感じになって。

 イコール、翔ちゃんの顔面にヒットしたわけになる。


 さすがに・・・キツかったかな?

 なんてチラっと思ったけど。

 翔ちゃんは危険だ! と言い聞かせてその思考はやめる。


 衝撃で翔ちゃんの手は、私の体から離れた。