「・・・あ、小夏くん」

「あがったから、入るなら入って」

「さっき、ごめんね! 私・・・ノックしてなくて」

 頭をペコっとさげて、謝罪。

 小夏くん・・・無愛想だから、怒らせたら怖そうで。

 そんな不安を打ち消すように私は何度も頭を下げる。


「・・・そこまで怒ってないし」

「え・・・」

「ていうか、お前のほうがイヤだったんじゃない? 男の裸なんか見て・・・」

「・・・別に」

「何それ」

「・・・男の人ってあんな体してるんだね。こう・・・筋肉とかがキュっとしてて・・・」

「どこ見てんの」

「!?」

 具体的に何言ってるんだぁ自分!!

 でも・・・イヤとかじゃなくてね。

 こっちは絵画でも見た気分だったんだけど。


 ていうか・・・イヤとか言う前に、ドキドキしてたんだけどな。


「悲鳴あげそうだったわりには、ちゃっかり見てんだ」

「そそそ・・・そんな、目の前に裸あったら見ちゃうじゃん・・・」

 恥ずかしくなってプイっと顔を背けた。

「じゃぁオレも・・・・・・お前の見たい」

 小夏くんが、私の首元のリボンにそっと指をかけてほどいた。

 そんな仕草にピクっとなる。


「オレのは見といて・・・お前のは見せないんだ?」

「小夏くっ・・・」

「くくく・・・・・・」

「え?」

「冗談」

 ほどいたリボンを指にかけたまま、小夏くんはくくっと笑っている。

 無愛想が、表情を崩して思いっきり笑っている。


 ていうか・・・私、からかわれた!?