「・・・ごめん。遅れた」
「・・・何があった?」
「電車乗り過ぎちゃって・・・」
「悪かった。お前そういえばこっち来てから間もないもんな。・・・何か恋人らしくとか無視して家から一緒に来るべきだったな」
「翔ちゃんは悪くないよ。教えてくれたのに降りるとこ過ぎちゃった私が悪い。だからゴメンね」
「いーや、オレが悪いってゴメン」
「いや、翔ちゃんは悪くないから!だから、私がゴメン」
「違うってオレが・・・って、変なの」
「え?」
気づくと翔ちゃんはくくっと、お腹をかかえて笑っていた。
「何でオレら、お互い謝りまくってんだろうな」
「・・・そうだね」
翔ちゃんにつられて、思わず自分も笑ってしまう。
お互いお互い、何で必死に謝ってるんだろう。
気づけばそうだ。
私は翔ちゃんと一緒になって笑っていた。
「映画もう上映するな」
「え・・・だって私少し遅れたのに」
「元から映画上映より早く待ち合わせにしてたんだよ。上映時間までブラブラして遊ぼうとか思って。だけど、ピッタリだな。お前ある意味すげぇ」
「褒めてる? それとも遅れたことを少しいじいじ言ってる?」
「さぁ、どうだろうな」
ニカっと笑った翔ちゃんの横顔に、何だか怒る気もうせて。
私と翔ちゃんは受付でカップル割引した値段で払うことに成功した。
「ていうか、映画の券自体でも割引なのに、カップルでも更に割引ってありがたいな」
「お財布に優しいね」
「そうだな。じゃ、入ろ。手」
「え?」
「手、つなごうぜ。どうせなら」
「でも・・・もうカップル割引できたし・・・」
「・・・今日1日は、オレは雪の彼氏だから」
翔ちゃんはそう言うと、なかば強引に私の右手をさらう。
そして、そのまま中に入る。

