「早い話。オレらに彼氏役しろってことだよね?」
翔ちゃんの言葉にコクンと頷いた。
「・・・いいよ。オレと行こう。日曜ヒマだったし」
「・・・翔ちゃん、いいんですか?」
パっと顔を上げると、にぃーっと笑った翔ちゃんがグッドを出していた。
やった。
私は、ポケットから映画の券を取り出して、一枚翔ちゃんに渡す。
「じゃぁ、日曜・・・お願いします」
「ちょっと待て」
「何だよ悠斗」
真剣そうな顔をして、ストップをかけるお兄ちゃん。
「・・・何でよりによって、翔と映画なんだよ」
「オレがヒマでー、オレが雪の彼氏役するためー」
「・・・小夏のほうがマシだ」
「どういう意味だよ!?」
「・・・翔は、襲いそうで信用ならない」
「なっ!!!」
「・・・オレが行けたらよかった・・・」
「悠斗だって襲いそうだろうが!!」
「な!?」
「あのさぁ・・・」
兄弟喧嘩が始まるのがイヤなのか、小夏くんが提案をしたようだ。
スっと控えめに片手を挙げた。
そんな小夏くんを見て、翔ちゃんとお兄ちゃんは我に返って落ち着く。
「・・・じゃ、話すけど。悠斗さ、そんな翔が気にいらないなら・・・オレでもいいんだろ?」
「え・・・・・・あ、まぁ」
小夏くんの提案に、多少腑には落ちない顔つきだが。
まぁ・・・翔よりマシかぁ。
なんて顔をしている。
「えーやだ。オレ絶対譲らない」
「諦めろ」
「やだー! 雪と一緒に映画見に行くー!」
譲らない翔ちゃんと、諦めろという小夏くん。
「じゃぁ・・・コイツに決めてもらえよ」
小夏くんは私を指差して、まさかの指名。
は?

