「雪ちゃーん」

「優香ちゃんっ」

 昨日のように、小夏くんと一緒に学校に来た私を、校門で優香ちゃんがお迎えをしてくれた。

「じゃ、雪。・・・オレここで」

「あ、はい。ありがとうございます」

 小夏くんにサっとお礼を言うと、私は優香ちゃんと会話を始める。


「おはよう」

「おはよう。ていうか、羨ましいわー小夏くんと・・・」

「兄妹だからね」

「私は八木家の人になりたーい」

「へへっ」

「って、立ち話じゃなくて教室行こっか」

「うん」

 私は優香ちゃんと仲良くおしゃべりしながら校舎へ走っていった。

 あぁ、友達って素晴らしい!

 友達最高!

 優香ちゃんが友達である感動に浸りながら、私は優香ちゃんと教室を目指した。


「あ。そうだ、雪ちゃん」

「ん?」

「これ、映画の券」

「あっ。これ見たかった映画」

 優香ちゃんが手に握っているのは、ずっと見たかった映画。

 私の大好きマンガが映画になったモノで、すっごく気になっていた、

「そう? じゃ、よかったー。はい、これあげる」

「え?」

「私それ部活の先輩にもらったんだけど、興味なくて・・・」

「でも・・・2枚あるし・・・」

「カップル割引きくからいけばー?」

「カップル!?」

「うん、お兄さんたちに協力してもらって」

 優香ちゃんは目をキラキラとさせて、グっとガッツポーズをしている。

 そして、私の手になかば強引に映画の券を握らせた。


 もらって、思わず返しそうになったけど。

 券に移った可愛らしい女優さんを見ているうちに、私はそれを鞄にしまっていた。