「・・・・・・見るなよ」

 恭ちゃんはそう言うと、私に背を向ける。


 
 あー・・・ビックリした。

 ていうか、ドキっとした。


 視線をお盆に落とすと、恭ちゃんのお茶碗は空っぽになっている。

 食べるの早っ・・・。

 男の子って・・・食欲旺盛とかいうもんね。


「ん」

 短い言葉と共に出されていたのは、見たことのない雑誌。

 見たところメンズ雑誌だ。

 
 前は男の兄弟なんていなかったから、メンズ雑誌なんて持ってないし。
 
 恭ちゃんが持っているメンズ雑誌が、初めて見るメンズ雑誌。

 私は恭ちゃんの手からそれをおそるおそる取る。



 そして、パラパラとページをめくっていった。

 恭ちゃんが載ってるページを探そうとしたが、探すまでもなく見つかった。


 適当に開いたページに大きく載っている恭ちゃん。

 シンプルな服を着て、ポーズを決めている恭ちゃん。

 カッコイイ人って、シンプルな服の方がカッコよさが引き立つんだぁ・・・。


 私は思わずページの恭ちゃんをガン見。


「恭ちゃん・・・カッコイイ」

「は?」

「えっ・・・あ、あの・・・」


 思わず声に出てしまっていた。

 モデルの恭ちゃんをカッコイイと思って、すごくカッコイイと思って、まさか口に出しちゃうなんてぇ!!


「いや、その・・・この、モデルの恭ちゃんカッコイイと思って・・・だけど、えと、モデルの恭ちゃんは恭ちゃんで・・・」

「・・・・・・」

「・・・えと、早い話。恭ちゃんはカッコイイです・・・」