八木さん家の5人兄弟。


 恭ちゃんの部屋でご飯を食べるのをいいことに、私は恭ちゃんの部屋をキョロキョロと見回す。

 
 大量に積まれた雑誌。

 全部、ファッション系のモノだ。

 
 モノトーンでシンプルな部屋の中で、そこだけが妙に浮いている。


 モデルの勉強とかかな・・・。


「何キョロキョロしてんの。面白いもんとかないから」

「・・・恭ちゃんが載ってる雑誌ってありますか?」

「・・・・・・なんで」

「?・・・見たいからですけど」

 他に理由はあるのかな。


「・・・飯食ってからでいいか?」

「出してくれるんですか?」

「・・・・・・・・・まぁ」

「ありがとうございます」

「・・・・・・」


 正直な話。

 恭ちゃんと2人だけって、怖い。

 
 うざいうざい言うし、つねに壁一枚はさんでるような感覚だし。


 だけど・・・悪い人ではないと思う。


 本当に悪い人だったら、慰めてくれないし。

 部屋から追い出すだろうし。


 だから・・・恭ちゃんはいい人のラインだと思うの。


「・・・お前・・・・・・ついてる」

「え? どこ・・・?」

「・・・・・・めんどくせぇ」


 恭ちゃんは愚痴を零しつつも、私の口元を親指でグっと拭った。

 
 私の肌の上を滑る恭ちゃんの指に、何だか緊張して。

 ドキドキして。


 思わず恭ちゃんの目をじぃっと見つめてしまった。