恭ちゃんの部屋でご飯を食べるのをいいことに、私は恭ちゃんの部屋をキョロキョロと見回す。
大量に積まれた雑誌。
全部、ファッション系のモノだ。
モノトーンでシンプルな部屋の中で、そこだけが妙に浮いている。
モデルの勉強とかかな・・・。
「何キョロキョロしてんの。面白いもんとかないから」
「・・・恭ちゃんが載ってる雑誌ってありますか?」
「・・・・・・なんで」
「?・・・見たいからですけど」
他に理由はあるのかな。
「・・・飯食ってからでいいか?」
「出してくれるんですか?」
「・・・・・・・・・まぁ」
「ありがとうございます」
「・・・・・・」
正直な話。
恭ちゃんと2人だけって、怖い。
うざいうざい言うし、つねに壁一枚はさんでるような感覚だし。
だけど・・・悪い人ではないと思う。
本当に悪い人だったら、慰めてくれないし。
部屋から追い出すだろうし。
だから・・・恭ちゃんはいい人のラインだと思うの。
「・・・お前・・・・・・ついてる」
「え? どこ・・・?」
「・・・・・・めんどくせぇ」
恭ちゃんは愚痴を零しつつも、私の口元を親指でグっと拭った。
私の肌の上を滑る恭ちゃんの指に、何だか緊張して。
ドキドキして。
思わず恭ちゃんの目をじぃっと見つめてしまった。

