「・・・で。いつでもこうしてればいいわけ?」
「あ・・・すいません。ずっと・・・ギュっとしてもらって・・・」
私は恥ずかしくなって、パっと恭ちゃんから離れた。
その時恭ちゃんが、私の涙が乾いた頬を、指でグっと拭った。
「あ・・・もう泣いてないな」
「え・・・あ。ごめんなさい。迷惑かけて・・・」
「・・・・・・別に」
「あ・・・・・・ご飯、食べませか?」
泣いたせいで、目的を忘れていた。
そうだ、恭ちゃんをご飯に呼びに来たんだった。
それを、今やっと思い出してもう一度伝えた。
「・・・・・・下降りるのダリぃんだけど」
「じゃぁ、持ってきます」
「は?」
私はそう言うと、恭ちゃんの返事を無視でリビングに降りる。
そして、お兄ちゃんの返事を聞かず、自分のと恭ちゃんの分のご飯をお盆に乗せると恭ちゃんの部屋に急いだ。
「・・・本当に持ってきたのかよ」
「ご飯はちゃんと食べなきゃダメですから」
「・・・何で2人分?」
「私もまだ食べてないから・・・ここで一緒に食べようと思ったので・・・」
「うぜぇ・・・」
私は、お盆を床に置くと、ご飯を食べ進める。
「・・・本気でここで食うわけ?」
「恭ちゃんが・・・死ぬほどイヤなら出ます・・・」
「・・・うぜぇ」
恭ちゃんはそう言うと、箸を手に取ってご飯を食べる。
・・・ダメって言わないから、ここにいてもいいんだよね?
私は目で必死にそんなことを訴えたが、恭ちゃんにあっけなくかわされた。
もう。
いいや、ここにいてやる。

