「あのさぁ・・・いつになったら玄関からあがるの」
「あ・・・」
小夏くんの冷静な一言で、翔ちゃんはハっとする。
思えば、まだ靴すら脱いでいない。
翔ちゃんは慌てて履き潰したスニーカーを脱ぎ捨てた。
そしてリビングに直行。
・・・よっぽどお腹すいてるんだなぁ。
私はくすくすと笑いながら、翔ちゃんにつづいてリビングに入った。
「・・・あれ? 恭ちゃんは?」
私は、1つぽっこり空いた席を見つめた。
・・・恭ちゃん、風邪引いてないかな・・・。
帰ってきた時びしょ濡れだった恭ちゃんを思い出して、私は言い切れない不安をかかえた。
そして、ウザイと言われたショックも思い出した。
「恭介は・・・そのうち来るんじゃないかな?」
お兄ちゃんの曖昧な答えに、私は思わず立ち上がった。
「恭ちゃん呼んできます」
「え? 雪・・・。恭介は今、機嫌悪いかも・・・」
私は、お兄ちゃんの言葉を無視してリビングを出る。
だけど、一旦リビングに戻って・・・。
「恭ちゃんと私のご飯、食べないでくださいね!」
と、釘を刺した。

