八木さん家の5人兄弟。


「あのさぁ・・・いつになったら玄関からあがるの」

「あ・・・」

 小夏くんの冷静な一言で、翔ちゃんはハっとする。

 思えば、まだ靴すら脱いでいない。

 翔ちゃんは慌てて履き潰したスニーカーを脱ぎ捨てた。

 そしてリビングに直行。


 ・・・よっぽどお腹すいてるんだなぁ。


 私はくすくすと笑いながら、翔ちゃんにつづいてリビングに入った。


「・・・あれ? 恭ちゃんは?」

 私は、1つぽっこり空いた席を見つめた。

 ・・・恭ちゃん、風邪引いてないかな・・・。

 帰ってきた時びしょ濡れだった恭ちゃんを思い出して、私は言い切れない不安をかかえた。


 そして、ウザイと言われたショックも思い出した。


「恭介は・・・そのうち来るんじゃないかな?」

 お兄ちゃんの曖昧な答えに、私は思わず立ち上がった。

「恭ちゃん呼んできます」

「え? 雪・・・。恭介は今、機嫌悪いかも・・・」


 私は、お兄ちゃんの言葉を無視してリビングを出る。

 だけど、一旦リビングに戻って・・・。


「恭ちゃんと私のご飯、食べないでくださいね!」

 と、釘を刺した。