八木さん家の5人兄弟。


「「たっだいまー」」

「おかえり。翔ちゃん。小夏くん」

「うわっ・・・」

「どうしたの? 翔ちゃん」

「あー・・・いや」

 翔ちゃんはなぜか顔を真っ赤にして、私と目を合わせてくれない。

 何かあったかな?

「翔、何かあった?」

「いやいや小夏。何か・・・その、新鮮だろ」

「は?」

「今までさー・・・悠斗とか巧からのおかえりだったけどさー・・・その、女から言われるとな?」

「妹」

「女なことには変わりない! だから、何かいいな。こういうの。嬉しい」

 翔ちゃんが意外なことを言うもんだから、反応に困る。

 私は、思わず目をそらしてしまった。

 何だか、喜んでいいか照れくさいのか・・・よく分からなくて。

 下唇をキュゥっと噛んでしまった。


「あっれー? 雪照れてる?」

「照れてませんっ・・・」

「いや、顔赤いって・・・ねぇ」

「照れて・・・」

「るでしょ?」

「・・・・・・翔ちゃんのイジワル」

 イジワルだ。

 オマケにイケメンだから、余計照れる。

 お兄さん。

 兄妹だけど・・・でも。



「翔。雪からかうな」

「いいじゃんか巧ー! ていうか・・・何で巧、雪の部屋から出てきてんの?」

 翔ちゃんの素朴な疑問に、巧くんは一瞬静止。

 そして、口をゆっくりと開く。


「雪の髪、乾かしてただけ」

「はっ。巧、抜け駆けしやがったな!!」

「ぬ、抜け駆け!?」

「雪を独り占めするなーってこと」

「ひ、独り占めなんて・・・してねぇし」