「「たっだいまー」」
「おかえり。翔ちゃん。小夏くん」
「うわっ・・・」
「どうしたの? 翔ちゃん」
「あー・・・いや」
翔ちゃんはなぜか顔を真っ赤にして、私と目を合わせてくれない。
何かあったかな?
「翔、何かあった?」
「いやいや小夏。何か・・・その、新鮮だろ」
「は?」
「今までさー・・・悠斗とか巧からのおかえりだったけどさー・・・その、女から言われるとな?」
「妹」
「女なことには変わりない! だから、何かいいな。こういうの。嬉しい」
翔ちゃんが意外なことを言うもんだから、反応に困る。
私は、思わず目をそらしてしまった。
何だか、喜んでいいか照れくさいのか・・・よく分からなくて。
下唇をキュゥっと噛んでしまった。
「あっれー? 雪照れてる?」
「照れてませんっ・・・」
「いや、顔赤いって・・・ねぇ」
「照れて・・・」
「るでしょ?」
「・・・・・・翔ちゃんのイジワル」
イジワルだ。
オマケにイケメンだから、余計照れる。
お兄さん。
兄妹だけど・・・でも。
「翔。雪からかうな」
「いいじゃんか巧ー! ていうか・・・何で巧、雪の部屋から出てきてんの?」
翔ちゃんの素朴な疑問に、巧くんは一瞬静止。
そして、口をゆっくりと開く。
「雪の髪、乾かしてただけ」
「はっ。巧、抜け駆けしやがったな!!」
「ぬ、抜け駆け!?」
「雪を独り占めするなーってこと」
「ひ、独り占めなんて・・・してねぇし」

