「ったく・・・。髪乾かさないと風邪引くし・・・」
「あ・・・そうですねっ」
「オレが乾かそうか?」
「え!?」
「オレ暇だし・・・。お前髪長くて乾かすの大変そうだし。まだご飯出来ないし」
「・・・でも。・・・・・・エロイんでしょ?」
「!?・・・・・・妹なんだから。もうそう思わないから」
私は巧くんの言葉にコクンとうなずくと、自分の部屋に巧くんを入れる。
そしてドライヤーを手渡した。
「・・・巧くん、乾かすの上手い」
「そう? 多分・・・オレより悠斗のが上手いよ。アイツ美容師だから」
「あ、そっか・・・」
「だけど・・・・・・」
「ん?」
「いや、何でもない」
巧くんはそう言うと、それ以降話さない。
なんだったんだろう・・・。
まぁ、とりあえず・・・本当に上手い。
暑くなくて、丁度よくて、とにかく上手い。
私は暇な両手で、じゅうたんをわさわさと触る。
ふわふわとした感触が手のひらを伝わってきて気持ちがいい。
「ん・・・乾いた」
「え? もう?」
「まぁ」
「へへっ。ありがとう巧くん。これからずっと巧くんにやってもらいたいや。・・・って、ごめんなさい。冗談です」
「・・・・・・時間ある時ならいーけど」
「え? 本当!?」
嬉しくなって、バっと後ろいる巧くんの方へ振り向く。
・・・あ。
そうだ、髪乾かしてもらってたんだ。
距離が・・・。
私は鼻が触れそうなほど近い巧くんとの距離に戸惑うしかなかった。
巧くんはお兄さんで・・・。
お兄さんだけど・・・。
こんなに近かったらドキドキする・・・。

