「ねぇ八木さんって、あの小夏くんと翔くんの妹!?」

「え・・・うん」

「やだ、超羨ましい!!! えぇ、いいなぁ」

 新しいクラス・・・1年2組に来たものの・・・。

 話しかけられる。

 それもめちゃくちゃ、女子から。


 話の8割が小夏くんと翔くんのことだけど。


 2人って人気なんだなぁ・・・。

 そんな2人の妹なんて・・・なんかすごいポジションにいるんだなぁ。


 それからずーっと、女子のトークから逃げられなくて。

 昼休みで一旦解除。


「お昼って学食なのかなっ・・・」

 周りを見渡すと皆お弁当を開けている。

 なので、学食はない模様。

「どうしようかな・・・」

 お弁当なんて聞いてなかったから持ってないし。

 あー・・・辺りにコンビニ・・・・・・なかったなぁ。

 頭の中で地図を思い浮かべるが、コンビニもスーパーもなかった。


 家から学校まで徒歩15分だが・・・往復で30分。

 昼休みがつぶれる結果。


「うぅ・・・お腹すいたぁ・・・」

「雪」

「えっ!!??」

 見ると、目の前にお弁当。

 ・・・と・・・。


「翔ちゃん!?」

「弁当忘れてったから。ん。忘れ物はいけないよ」

「あり・・・がと」

「八木先輩!!!」

「わ・・・女子に囲まれるからバイバイ」

 翔ちゃんはそう言うとダっと廊下のほうへ駆け出す。

 だけど、女子に囲まれたらしい。

 
 翔ちゃん・・・・・・お弁当持ってきてくるためだけに・・・わざわざここのクラスまで来てくれたんだ・・・。