「はぁはぁ・・・」

「ごめん小夏くんっ・・・その、重くてごめんなさい・・・」

「・・・軽くてビックリした」

「へっ? きゃっ・・・」

 ストンと地面に下ろされる。

 気づけば目の前は学校だ。

 わざわざ遠回りの道で来たらしい。


「ん。職員室行けよ。転校生なんだから」

「あっ・・・はい。小夏くん、ありがとございます」

「何でお礼? オレが女子に絡まれたくないから遠回りしただけし・・・むしろお前を巻き込んだ」

「でも・・・おんぶしてくれたしっ」

「・・・変な奴」


 小夏くんはそう言ってフっと笑うと、さっさと校舎に向かって走り出した。

 ・・・小夏くん、笑えるんだ。

 無愛想なだけかと思ってたけど・・・可愛いかも。


 しかも、優しいし。

 あんなお兄ちゃんでよかったぁ・・・。