新しく買った目覚ましが、目覚めの音を鳴らす。

 目覚ましを止めると、いい感じの時間だ。

 洗面所に行って顔を洗うと、鏡に誰かが映る。


「あ・・・・・・恭ちゃん。おはよ」

「・・・・・・」

 恭ちゃんは寝起きが悪いのか、ぶすっとした顔で私の背後に立っている。

 いや・・・いつでもこんな顔だっけ。

 昨日のうちではこんな表情しか見たことがない。


 恭ちゃんは、無言でどけと言ってる様子。


「あ、ごめんなさいっ・・・」

 私はタオルをギュっと握って、洗面所から出てリビングに向かった。

「ぷはっ・・・」

 恭ちゃんはまだ怖い。

 というか、無愛想で話しにくい。

 でも・・・小夏くんも無愛想だけど、まだ話せる。


 この、違いはなんだろう・・・。


「おはよ、雪」

「わっ、翔ちゃん」

「リビングに入らないの? 何でドアの前に突っ立てるの?」

「ちょっと考え事してて・・・」

「・・・なら、キスしてもバレなかったかな・・・」

「なっ・・・」

「嘘嘘・・・。あながち嘘じゃないけど」

「もぅっ!」

「とりあえずリビング入ろ」

 くすくすと笑う翔ちゃんにうながされ、私はドアを開いた。

 全く翔ちゃんは・・・。

 からかうのをほどほどにして欲しい。


 お兄ちゃんだって分かってるけど、ドキドキしちゃうから。

 って、バカ自分っ!!!


「あ、雪おはよ」

 リビングにはもう巧くんと小夏くんが来ていた。

 2人とも、おいしそうにオムレツを頬張っている。