「ったく・・・。オレが悪いか。今のは」


 頭を抱えて、うなるように声をあげる。


「とりあえず立て」


 恭ちゃんに手を引かれて、私はゆっくりと腰をあげた。


 あ・・・少し痛い。


 ズキンと背中に痛みが走る。



 いや、大丈夫かな・・・。



「後ろ向け」


 少し怖い声。

 怒ってるのかな・・・。


 私はゆっくりと背中を恭ちゃんに向ける。



 何をされるかビクビクしていると、背中がほわっと暖かくなった。


「痛むよな? 悪い・・・」

「・・平気だよ」


 恭ちゃんに、抱きしめられてる。


 背中を包むように。


 優しくて、暖かい体温が、すぐ後ろにあって。


 安心して。



「恭ちゃんが抱きしめてくれるから・・・平気だよ。本当に」

「何だよ、それ」

「平気だよ。恭ちゃんのこと・・・大好きだもん」


 恭ちゃんは、無愛想で、怖いイメージあったけど。

 本当は優しくて。

 暖かい人で。


 大好きなの。