「来い」


 来い・・・というか。

 手をグイグイと引っ張られて、強制的に。


 階段を上って恭ちゃんの部屋へ。


 
 部屋に入った途端、手をパっと離されて恭ちゃんが振り向いた。


「おい、てめぇ。悠斗たちに何された」

「え・・・」

「何されたかって聞いてんだよ」


 イライラしながら話す恭ちゃんに、さすがに怖くなる。



「えと・・・抱きしめられたり・・・おでこにキス、されたり?」


 今日だけでいろんな人に抱きしめられている。

 
 ・・・なんかモテモテだ、自分。


 自分でいうのもなんだけど。



 でも・・・やっぱ抱きしめられたい人は恭ちゃんかな。


 はい、バカなこと言いました。



 
 そんなことをグルグル考えながら、恭ちゃんを見ると難しい顔をしていた。


 深刻なのか。

 不機嫌なのか。

 考え事してるのか。


 いや、全部かな。



「恭ちゃん?」


 名前を呼んでも返答なし。


 もう1回呼ぼうとすると、あることに言葉をさえぎられた。