「・・・恭介」


 小夏くんは少し悔しそうに呟いて、私を体から離す。


 私は、衝動的に恭ちゃんに駆け寄った。


 そして、恭ちゃんにギュっと抱きつく。



「恭ちゃん、恭ちゃん・・・」


 バカみたいに名前を連呼して、必死にしがみつく。

 
 あぁ、恭ちゃんに迷惑って思われてるかも。

 あぁ・・・どうしよう。


 ノリでこんなことになったけど、今更考えてしまう。


 
 だけど、そんな心配がすぐ吹き飛ぶ。


 私の背中を恭ちゃんが優しくなでてくれたから。



 恭ちゃん・・・。



「おい、悠斗。巧。翔。小夏。・・・次、雪に手ェ出したら殺すぞ」


 背筋がゾクっと震えるような


 そんな言葉。




 ・・・私って、大事に思われてるんだ。



 そんなことが感じられる一言でもあった。