「赤星!」

感傷に浸る僕に、アルテミアは叫んだ。

「この携帯ってやつの!手に入れ方を教えろ!」

「え?」

現実に戻った僕は、アルテミアの少し怒り気味の声に、慌てて説明した。





「じゃくさい!」

アルテミアは説明の後、はき捨てるように言うと、

「まあ…一応は、理解できた」

アルテミアは少し言葉を切ると、

「……ということはだな…。別に、そんか邪魔くさい手続きをしなくても、新しい携帯だけ、手に入れたら、いいんだろ」

「まあ…新しい携帯があれば…いけると思う。多分…中に入れるカードは、変わってなかったし…」

「赤星!変われ!」

アルテミアの命令に、

「モード・チェンジ」

素直に、僕は従った。



アルテミアに変わると、さらに、

「モード・チェンジ!」

アルテミアはさらに、モード・チェンジした。

フラッシュモード。

スピードを重視したスタイルに変わり、目にも止まらない動きで、店に戻ると、

アルテミアは、店内に入り…すぐに出てきた。

その間、瞬きの時間もない。

アルテミアの手には、新しい携帯の入った箱があった。

「まさか…モード・チェンジを泥棒に使うなんて…」

ため息をついた僕に、アルテミアは言った。

「一応、金は置いておいたぞ」



先程僕の相手をした店員は、次のお客の対応としている途中で…自分の手元に、無造作に置かれたお金に、気付いた。

「え……千円…?」



アルテミアは、鼻歌を歌いながら、新しい携帯を取り出した。

「赤星!セットしろ」

「…わかったよ」

もうとったものは、仕方がない。

再び僕に変わると、壊れた携帯から、カードを抜き、新しいカードにセットした。

「アルテミア?新しいメールは、来てるか?」

電源を入れなくても、アルテミアは携帯から、ハッキングできる。

電波は、天空の女神の領域だ。

「ああ…。何件かある」

「それじゃ」

僕は、携帯を胸ポケットに入れた。

「いくよ」

戦いの場所へ。