ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-






我はそう言う菜々美の肩を抱き、首筋に鼻を向け彼女の匂いを吸い込む。
そこからは柔らかくて、我を安心させる匂いがした。


(誰にも渡さぬ、…誰にも)


その匂いに熱に浮かされたような気持ちになる。
我はそのまま顔を動かし、耳朶に唇を寄せると重い口を開いた。










「―――我と共に生きてはくれぬか?」


そう告げた瞬間、菜々美の身体がぴくりと揺れる。


それでも我は菜々美の肩を抱いたまま、菜々美からの言葉を待った。