いつのまにか雪は止んでいた。

沈黙が続く中、アタシは空を見上げる。

気まずい。

さっきまで雪が降っていた空は、太陽が顔を覗かせているはずもなく、普段当たり前のようにそこにある綺麗な水色の空は、灰色の雲で覆い尽くされていた。

まるで今の二人の心の中を、この大きな空が模写している様だ。


「紗枝！」


沈黙は思わぬ所で破られた。

無意識のうちに声のした方向へ目が向かう。

スラッとした男がこちらへ向かって走って来ているのが見えた。

身長はそこまで高くない。

176cm程だろうか。

ほんのり赤みがかった茶髪に、トップは短め、全体的にミディアムくらいの長さ、髪型はそんな感じか。

シルエットが段々はっきりとしてくる。

顔は…あれ、結構いいセンいってるんじゃない？見た目は合格かな。


「あっ、秀―シュウ―！こっちこっち！」


紗枝がぴょこぴょこ飛び跳ねながら手を振っていた。

まさか既に隣で自分の彼氏を即座に分析されているなんて思ってもなさそうな、笑えるくらいに能天気な顔だった。