冬の香り

こんな自由奔放で子供っぽさの残った、周りを振り回す気まぐれ女なんかを選んだ男、というものに興味があった。

アタシが男だったら絶対に付き合いたくないタイプ。

それなのにわざわざ好んでこんな子と付き合うとはどんな男なんだろうか。

いかにもオタクぽい、女に縁が無いような男か、それとも女なら誰でも良いと抜かすようなチャラチャラした男か。

もう話も通してあるらしいし、あれこれ想像、いや妄想を膨らませていたら少し好奇心が沸いてきたので行ってみる事にした。


「わかったよ、行くよ。行けばいいのよね?暇だし付き合う。しかし緊張するな、どうしたもんか。」


箪笥を引き出し、服をあれこれ選びながら呟くアタシを、紗枝はヘアアイロンでジュッと髪の毛を暖め、引っ張りながら、にこにこして眺めていた。

どうしてこの子が今アタシの部屋に座り込んで一心不乱に髪の毛をセットしているのかは、敢えて突っ込まないでおこう。