冬の香り

その日からアタシは、とにかく秀と紗枝の間に割り込めるように、あらゆる手段を使って二人の邪魔をした。

デートと聞けば体調不良を訴え、アタシを心配して側にいてくれる紗枝の気持ちを利用して、デートを中止させてみたり。

アタシに寄って来る男を利用して、紗枝に接触させ、秀との仲の邪魔をさせたり。

秀が欲しい、と思った日に別れた元彼氏すらも利用した。

どれだけ卑怯な手段を使ってでも二人の仲を壊したかった。

最初は秀がアタシの方を向いてくれたら良い、そんな気持ちだったのだが、

そのうち、振り向いてくれないのなら壊す、そんな破壊願望に支配されてしまっていて、もうどうにもならなかった。