冬の香り

その日は一日中、二人の親密さを見せ付けられた。

新鮮だった。

今時こんなに純粋に恋愛を楽しんでいる人間が存在していたという現実。

今を楽しめば良い、自分が楽しければ良い、終わればすぐ次に行けば良い。

そんな自分勝手で、相手を使い捨てのワンデーコンタクトレンズのように扱う恋愛しか見てきていなかったし、もちろん自分もそうしてきた。

秀と付き合えば、アタシの汚い心も少しは浄化されるかもしれない。

そうしたら、今までの汚い自分に別れを告げて、またゼロからスタートできるかもしれない。

―アタシは現状に不満を抱いていたのだろうか。

"アタシはこれでいいの"というスタンスでは無かったのか。

あの二人に憧れてしまうなんてどうかしてる、アタシ。