冬の香り

―3、2、1、カシャッ。


三人でプリクラを撮る。

舌を出してみたり、大口開けてみたり、自信のある角度・表情で写ってみたり。

いつも友達とプリクラを撮る時は、

ノリで変顔を作ってみたり、いかにも女を捨てました、というようなプリクラが完成してしまったりする事も多々あるのだが、

後で秀に見られることを考えたら、そんな事は絶対に出来なかった。

見た目には自信がある。どんな表情を作れば、どんなポーズを取れば、ふざけていても綺麗に見えるか、自分でしっかり把握している。

そして予想通り、仕上がったプリクラはすべて綺麗に写っていた。

怖いくらいに完璧。


「香緒ちゃんは美人さんでいいなぁー。」


シールを三等分しながらブツブツ呟いている紗枝。

当然でしょ?アタシだもの。ごめんね―色々な意味で―。

と心の中で返事をした。