「香緒―かお―ちゃん、わたし今日彼氏と遊ぶんだけど、香緒ちゃんも一緒に来ない?」
携帯をいじりながらボサボサの髪を手櫛で梳きアタシに話しかけるのは、一緒に暮らしている紗枝―さえ―。
紗枝とは幼い頃からの知り合い、いわゆる幼馴染なのだが、
アタシだけ中学のときに隣町へ引っ越してしまっていて、時々連絡を取る程度だった。
一緒に暮らしている、と言っても二人暮しではなく、進学で紗枝の住んでいる町に通うことになったアタシは、
幼馴染だということもあり、紗枝の両親から下宿しないか、と声をかけられた。
紗枝も賛成してくれて、春からこの家にお世話になり始めた。もう半年以上が経つ。
長い間一つ屋根の下で家族同然の様に生活しているが、アタシは意地っ張りで強がりな性格故に、
所詮は赤の他人であるこの家族に完璧に心を開けず、毎日演劇部の部員になった気分で「家族」を演じていた。
携帯をいじりながらボサボサの髪を手櫛で梳きアタシに話しかけるのは、一緒に暮らしている紗枝―さえ―。
紗枝とは幼い頃からの知り合い、いわゆる幼馴染なのだが、
アタシだけ中学のときに隣町へ引っ越してしまっていて、時々連絡を取る程度だった。
一緒に暮らしている、と言っても二人暮しではなく、進学で紗枝の住んでいる町に通うことになったアタシは、
幼馴染だということもあり、紗枝の両親から下宿しないか、と声をかけられた。
紗枝も賛成してくれて、春からこの家にお世話になり始めた。もう半年以上が経つ。
長い間一つ屋根の下で家族同然の様に生活しているが、アタシは意地っ張りで強がりな性格故に、
所詮は赤の他人であるこの家族に完璧に心を開けず、毎日演劇部の部員になった気分で「家族」を演じていた。