「和泉先生・・・ねぇ」
ゆっくりと私に近づいて来る大地。止まっていた足を叱咤し私も合わせて後ろにさがる。
今は面倒な事にうかつには手が出せない。
どんな理由であれ仕事だ。無事におわらせたい。よって行動が色々と制限させれる。
心の中で息を吐き自分を落ち着かせる。
ここは冷静でいることが大事。
が、ダメだった。
私なりに頭を回転させ、どうやってこの状況から抜け出そうかと考えているうちに壁と大地に挟まれていた。
遅かったか。
「お前、桜だろ。」
耳元で囁かれもはや体は完璧に硬直。
すると大地はニヤッと笑って私の顔を覗き込んできた。
完璧に気付かれてる。
大丈夫、大丈………―――――
夫じゃないからこうなってるんだよ!!

