すっかり静かになった教室を見回す。
いるのは窓際にいる彼だけだ。
しかし、相も変わらず机に突っ伏したまま。
開いた窓から入ってくる緩やかな風が彼の柔らかそうな黒髪を揺らす。
まあ、いいか。
どうやら彼は熟睡のようだし。
私は携帯を取り出し電話帳から"変人"を選びコールボタンをおし、そのまま耳にあてる。
5回目のコール音が終わると同時に眠そうな声をした奴の声がする。
「遅いです。私からの電話には3回以内ででなさい。……はあ?あなたが昨日何時に寝たかなんて知りませんし私には関係ありません。――――口調は仕方ないでしょう。そんなことより今から言う人物をすぐ調べて雪治の携帯にデータを送ってください」
ぐちぐちと小言を言う相手に美言の事を言った後、すぐに通話をきった。
ついでにそのまま電源もきった。まだなにか言っていたが面倒なのでしかとだ。

