あれから10分。
本格的に泣きはじめた雪治をあやし、席を入れ替えてやっと話を再開することができた。
「桜……。お前も大変だな。こんなでかい犬飼って。」
「言わないで。そっちだってでかい野獣放し飼いしてんだろ」
リュウの言葉に即答する。
するとリュウは、まるで苦虫をかみつぶしたような顔をしてすっと顔をそらしたのち、ポツリと返事をしてきた。
「それは、さわらぬ神にたたりなしってやつだ」
「…………ごめん」
「いや、いいよ。気にしない」
はぁーと龍と同時にため息をつく。
「あら、龍ちゃんあなたいつのまに野獣なんて飼ってたの?」
「………」
あんたのことだろ。
と、ここにいる計三名がおもったのは言うまでもない。

