困ったように笑いながら言う悠李に少し拗ね気味に言葉を返す南と言う少年。
しかし、すぐに笑顔になりなぜか私にいきなり自己紹介を始めた。
「初めまして。僕は時谷 南と言います。みなみって読んでくださいね」
「あ、これはご丁寧に。天王寺 桜です。」
全く綺麗な挨拶だ。どっかの誰かとは大違いだな。私はチラリとその誰かを見る。
「で、そいつは浅間 壱哉です。」
南はニッコリ笑って答えてくれた。
あらためて顔を見るために手の力を緩めようとすると南はそれを止めてきた。
「あ、そのままでいてもらえますか? 僕そいつ嫌いなんで」
「え、本当? なら遠慮なく」
「何が"遠慮なく"だ!! このサディスト共!! 手を離せ!!」
「「うるさいよ?」」
「声を揃えるな!!」
私と南はなかなか相性が良いらしい。というか、南はSと言うよりただたんに壱哉が嫌いなだけなんじゃないの?
まあ、そんなこといいか。
今は壱哉に集中してやろう。
目を細めて笑うと壱哉の表情がひきつった。
「お前等、本っっっっ当にドSだな!!同時に同じ笑い方しやがって、このサディストコンビ!!」
やっぱりただのSかも。