『丁度いい。お前に言わなきゃいけないことがあったんだ』
「ものすごい無理矢理な方向転換お疲れ様です」
私のなんの感情もこもっていないツッコミに男は「ふざけんじゃねーよ」と先程のことをまるでなかったかのよう反応に若干イラッとしつつ、玄関からリビングへと場所を移動する。
光月春樹-コウツキ ハルキ-。
圧倒的な演技力とそのルックスで芸能業界では引っ張りだこの実力派俳優。
まあそれも過去の栄光だがな。
この男、光月春樹は先日主演を務めた映画作品を最後に役者業の引退を発表した
それと同時にこれまで副業としてきたホテル業に本腰を入れることと、役者人生最後の作品でヒロインとして共演した幸瑞菫との婚約を発表し世間を大騒がせさした。
「無職の気分はどうですか、社長」
『社長って呼んでる時点で無職じゃないけどな。お前それわかってて言ってるだろ』
「あはは、ばれた?そのとおり嫌味だ」
『そこまでいってないがな』
「で?」
『なんだよ』
「さっき言ってた要件ってなによ」

