若干キレ気味の私の声を聞いた雪治が肩をびくっと揺らす。
「あ、いや、あの、これはそのー」
スーと目をそらしながら答える雪治の両頬をガシッと掴みながら目をこちらに向けさせる。
「雪治くん?これはどうゆうことかしら。私、いったよね。赤点だけはとるなって。絶対にとるなって………いったよね?」
どんどん手に力を込めてゆきながら言葉をつらつら並べていく。
「ひ、いひゃい(い、いたい)」
「ゆきじくん。さぁ、私がいった言葉を言ってごらんなさい?」
「り、輪廻ひゃんのひゃかてんしふぉうは夏休みもひゅかうからひゃかてんはとるな、です(輪廻さんの赤点指導は夏休みもつかうから赤点だけはとるな、です)」
「そのあと、あんたの苦手な英語も教えてやったよね?なのになんでテメェ赤点とってんだ、あぁ?」
私は両頬においていた手を離し、片手だけ使って雪治頭を持ち上げる。

