「なに、なんかよう?」
私はリビングから玄関に通じる扉をあけ、腕組しながら取っ組み合いをする二人………雪治と壱哉を冷たく見下す。
「さ、さくらぁ」
目に涙をためながら私を見てくる雪治。
「ちっ、起きてきやがった」
舌打ちをしてそんな雪治を睨み付ける壱哉。
何のプレイだよ。
「あー、もういいや。おいテメェ。お前の犬、持ってくぞ」
「……別に構わないけど、なにさせるつもり?」
さすがに帰ってきた雪治がSMプレイに目覚めたとかは勘弁してほしい。
「そ、そんな!!俺なにか悪いことしたか!?なんで俺のこと売るんだよ!!」
「売ってない。変な言い方しないの。で、なんでこんな朝っぱらから私ん所の犬つれてくわけ?」
「俺の名前、なんか犬で定着してる……」
隅でしくしく泣いてる雪治をガン無視して壱哉に視線を向ける。
「あー、補習組だから。」
「…………あぁ?」

