「桜?あなたは本当の強さを持つ人はどんな人だと思う?」
「力持ち」
「うーん、ちょっと違うわね。」
「じゃあ、けんりょくしゃ」
「まあ、誰からそんなこと聞いたの?」
「兄さん」
「あの子は、まったくもお」
わたしは母の言ってることがよく分からず小首を傾げる。
すると母はフフッと笑ってわたしの頭を撫でた。
「今度からはお兄ちゃんの言ってることを信じちゃダメよ?」
「はぁい。じゃあ、力持ちでもけんりょくしゃでもないならだれが強い?」
すると母はわたしを撫でる手を止めてわたしの目をまっすぐ見つめてきた。
「本当に強い人はね、心が強いの」
「こころ?」
意味が分からないわたしは再び小首を傾げてキョトンとする。
「そうよ? 心が強いの。ただちからもちなだけじゃダメ。お金持ちなだけでもダメ。心が強い人。大切な人を本当の意味で助けれる人。お母さんは桜にそんな人になってほしいの。あ、でも、見本の様に生きてとは言ってないわよ? それじゃあ人生つまらないものね♪」

