私が思わぬところで驚いていると、"雅彦さん"はふと思い付いたような顔をした。
「でも、僕の知り合いが立地の良い場所に貸し出し用のロッジを経営していてね。そこなら、きっと頼めば安く使わせてくれると思うよ」
ニッコリと優しげに微笑みながらそう言う雅彦さんになぜか逆光が見えるのは気のせいだろうか。
「え、本当に? それすごい助かるよ雅彦さん。うちのリーダーって金持ちの癖にケチだから自分のしかお金だしてくれないぶん中々良い場所見つかんなくて困ってたんだよね~」
私が心理的な眩しさに目を細めていると、ハジメがにやにやと笑いながら大地を見てそう言った。
こいつ…………………性格悪いな。
違う意味で目を細めながらボソッと心のなかでつぶやいた言葉は胸のうちにしまっておこう。
「ん?大地君のご両親は実業家か何かなのかい?」
不思議そうに聞いてくる雅彦さんに、大地は少し考え込むようにしたあとすぐに口をひらいた。
「弁護士事務所を経営しています」
「………もし違ったのならあれだけど、もしかして大地君の父親は紫くんかい?」
「父をご存知何ですか?」

